書 籍 情 報
   

今北産業:
選んだ人:アボカズヒロ

■『b-Boy Phoenix 絶頂特集号



慢 画 爆 弾 レ ビ ュ ー

今北産業です。コボちゃんさん(警察のマスコットキャラの人)主催のこの企画への参加が決定したときは、「やったー!これでボクもインターネットの人気者の仲間入りだYO!」といった感じで喜びに満ち溢れていましたが、今は純粋な殺意しか抱いていません。

私はボーイズラブが嫌いです。

この本を手にしたとき、そのショックから、本件決定時の前後の記憶が吹っ飛んだわけですが、類似の書籍を抱えたぐちょんさん(クマの子ウーフの人)と共に電車の中で鬱々とした表情を浮かべていたことだけは覚えています。欠落した記憶の修復のため、後日ツイッターにて、コボちゃんさんに「俺のこの本って誰からのプレゼントでしたっけ?」と尋ねたところ、「アボカズヒロくん!今北さんの根性に期待してます!ぐちょんもアレですし、ひとりじゃない!」という軽快明朗な御返答を賜り、沸々と殺意が湧いたことだけは、事実として此処に記しておきたいと思います。

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【本書あらすじ】(公式サイトより全文転載)
ココロが勃起するから、カラダが絶頂なんだ!!
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……死ねばいいのに(アボカズヒロくんが)。
今回、私が読むことになった『b-Boy Phoenix 絶頂特集号』は、2006年7月に刊行された、いわゆる『ボーイズラブ(BL)』を題材とした漫画です。雑誌(?)『BExBOY MAGAZINE』に掲載された単発作品を寄せ集めたものが本書であると思われますが、それ以上に概要を精査する気にはなれませんでした。掲載物は漫画ですが、表紙のカヴァーを外すと『ミズナ塾 -黒薔薇ミズナの絶頂講座-』なる解説文が掲載されており、本書副題たる『絶頂特集号』の趣旨趣向がここで解説されています。

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【ミズナ講座】(概要)
・「こじあけられて押し込められるのは、苦痛ばかりで絶頂どころではない」という受けの声
・「八センチの法則」禁断の門から八センチのところにあるゴールデン・スポット
・受けの殿方のM開発は必須。M扉が開けば、攻受の同時昇天も可
・基本訓練は怠らない
・受けの殿方と愛のザイルを固く結び「そこに山があるから登るのだ」の意気込み
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……死ねばいいのに(アボカズヒロくんが)。

よくよく表紙を見返してみると、公式サイトにありました「ココロが勃起するから、カラダが絶頂なんだ!!」のキャッチフレーズがこの表紙上にも記されているほか、表紙右上部に小さく「特集にちなんだエッセイ新連載」と記されており、それがこのミズナ塾のようです。つまり、このようにしてカヴァーを外すという行為が読者側への前提条件となっており(カヴァーを外せという指示は本文中には無し)、この一連の無駄なギミックには、苛立ちを通り越して殺意しか湧いてこなかったことを改めてここに記しておきたいと思います(アボカズヒロくんに対して)。

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【書籍内容】

【ねぇ、先生?】(桜城やや)
・攻:生徒
・受:教師(眼鏡)
・引越し祝いで互いに自慰。

【古城のプリンス】(七瀬かい)
・攻:美術商
・受:貴族(古城の主)
・古城にて性交中、使用人達が全員幽霊だと判明。

【愛まではなさない】(しおべり由生)
・攻:美術商
・受:モデル
・モデルの再婚相手が云々で喧嘩。仲直りする過程において性交。仲直り後も性交。

【トロけるほど愛して】(かんべあきら)
・攻:会社員
・受:デザイナー
・互いに仕事を通じて知り合い、後に性交。

【今日の火遊び】(本庄りえ)
・攻:弟(中学生)
・受:兄(会社員)
・実家に帰ってきた兄。弟による尺八。

【アイボリーの誘惑】(池玲文)
・攻:パトロン
・受:画家
・画家の方からパトロンを。誘い受け。相互自慰。

【ボクらはここから】(千歳ぴよこ)
・攻:高校生
・受:ホスト
・初めての性交。

【SHOW BOY】(環レン)
・攻:会社員
・受:大学生
・海外留学中に同行した社会人と性交。

【フライト・コントロール】(新田祐克)
・攻:役者
・受:役者
・演技の幅を広げるために海外へ。帰国後、尺八。

【ごっこ。】(桜木あやん)
・攻:兄
・受:弟
・自慰行為の撮影を強制させられる。その後、兄と性交。

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…… 死ねばいいのに(漫画爆弾を企画したコボちゃんさんが)。

ウィキペディアにおける『やおい』の項において、『主に女性読者のために創作された、男性同性愛を題材にした漫画や小説などの俗称』と解説されているとおり、本書は健全なる男性読者たる私向けに書かれた作品ではないことが十二分に理解出来た。『やおい』と呼ばれる作品群において、一次創作に特化したものを『ボーイズラブ(BL)』と称するとのことであり、本書掲載の作品について、登場人物およびストーリーに独自のものを使用しているというのは、素人たる私の目にもはっきりと分かった。こういった『オリジナリティー』という点については通常上向きの評価を与えるべきところであるのだろうが、今回の場合は逆に、二次創作による『原作補完』の力を借りてでも、この耐えがたき読書時間を耐えるための取っ掛かりが必要とされた。また、『ヤマ(山場)無し、オチ無し、意味無し』の言葉どおり、各掲載作品について書き得る詳細などは存在せず、登場人物のキャラクターとその行為の内容についての差異のみが、各作品を個別のものとして認識しうる唯一のものであると感じた。


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