書 籍 情 報
   

コボチャン:
選んだ人:X-man

■『空のむこう』

  遠藤淑子



慢 画 爆 弾 レ ビ ュ ー

コンチワ!コボチャンです。
今回、慢画爆弾ということで、おれが読んだのは ドープなMIXを作らせたらちょっとゴイスーな男、blackoutの選んだこの漫画。 どうやら結構たくさん描いてる漫画家の短編集のようだ。

発行は白泉社、jets comicsという完全なる守備範囲外。ファースト守ってたはずなのに、後頭部にボールを投げられたような不意打ちさ。 このボールがゴムボールなのかボーリングの玉なのかは未知だが、とにかくページを進めることにしよう。

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「敏腕!茂合課長」
刑事課長の頭がモアイ像というギャグマンガ。頭が大きいから張込み捜査でもすぐ見つかっちゃう茂合課長が犯人を捕まえたり、でも本当はゴキブリが怖くて、「キャ!」なんて悲鳴をあげたりする…という漫画でした。あらすじじゃなくて、本当にこれしか描かれてない漫画。

感想も何も…こんなに読んだ後に心がカラッポになった漫画ははじめて。しょっぱなからナイフを突き立てられた感じ。もう後戻りはできない。


「あの子」
不妊治療をあきらめた夫婦がボロ家に引越しをした。そこに現れた少年は実は座敷童で、座敷童を追いかけた妻は転んで頭を打ち、なぜか妊娠する、という話。

マジで何が言いたいのかわからない。すごく淡々としているが、淡々としすぎていて意味不明の領域に入っている。つうか頭打って妊娠ってなんだよ。そんな妊娠法はじめて知ったよ。


「幸せになろう」
自分の担任が親と結婚したことでスネちゃった高校生の元に、天国に行くために一人幸せにしないといけないという幽霊の少年がやってくる。少年はスネた高校生の「元担任の子供なんか生まれなければいい」という願いを聞いて元担任を殺そうとするが、水際で自分が悪いと気づいた高校生がそれを引き止める、という話。

こんな話どっかで読んだことあるなあ、『幽遊白書』とかで…と思って調べたらそういう事実はなかった。しかしなんだろう、このデジャヴ感。


「リンク」
両親が離婚して転校してしまう美少年のために、みんなでスケートリンクを作る話。

LINKとRINKがかかってるんですって!
「絆」って意味があるんですって!
きゃー!早くセックスしろよ!


「こんな話」
犬が大好きだという作者のエッセイ?っぽい漫画。
ああ、犬が好きなんだねえ。よかったねえ。
本当によかったねえ。ついでにもひとつ、よかったねえ。


「空のむこう」
若くして王となった少年が、宗教、しきたり、民衆、恋に悩む。「神に祈るよりも病院を多く作る」という政策を打ち立て暗殺されかけるが、自分を殺そうとした犯人が、自分の教育係だった神官だと分かる。時代と民衆のことを考えた王が、信念も恋も捨て“神に祈り、恋人を象徴として幽閉する”という政治を選ぶ話。

まあ、普通の短編で、ぶっちゃけ普通に読めた。ここまでクソだらけだったのに、いきなり普通っぽい短編が出てくると困る。どうせなら最後までクソ漫画であってくれたほうが漫画爆弾的には面白かったのに…。


「雨」
隣人と仲良くなりそうだったり、怒られたりする話。最後、なぜか唐突に隣人が死んで、その隣人が飼っていた犬を引きとって飼う、というところで物語が終わる。

何が言いたいのかさっぱり分からんかった。もしかしてこれは暗号、いやダイイング・メッセージか…。黒の組織め!


「スノウ」
戦国時代、弱小国の領主と、雪の精霊とのささやかな交流を描いた話。才覚あふれる領主は、生まれた時代が悪かったのか、不運が重なったのか、戦地に駆り出して敗北し、雪の精霊とともに領地の片隅で花になりましたとさ。

くっさい話だが、これまた普通に読めなくもなかった。おれのハードルが下がっているのか、 それとも本当にまあまあ佳作なのかはもはや判断不能。


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総じて言えば、ラーメン屋で見かけて読んだらクソ漫画だった程度の、読んだからってたいしてハラも立たないし、時間がたった分ハラが減る程度の漫画だった。 読むのに時間はかからなかったけど、短編集だけにいちいちあらすじをまとめるのがマジ面倒でした。とりあえず、普通に焼却処分だな、こりゃ。


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