書 籍 情 報
   

太陽漏電:
選んだ人:今北産業

■『ポケットモンスター全書』

  遠藤淑子



慢 画 爆 弾 レ ビ ュ ー

「きみはすべてのポケモンをみつけられるかな?
さあ冒険の始まりでチュウ!」

ページをめくった扉に鎮座する、ややぽっちゃり目の電気鼠に煽られるころからこの物語は始まる。なんとも漫画爆弾に相応しい、イラっとする始まりである。

「ポケットモンスター」1996年にゲームボーイで発売されて以来、未だに世界で愛されている長寿ゲームである。当初モンスターが151匹もいる!というのが売りだった。今やモンスター数500匹を超えようとしているポケモン。今回紹介するこの「まんが版 ポケットモンスター全書」では、わずか1冊の中に初期のモンスター、全151匹が登場するらしい。なにしろ全書ですからね。まんが版全書。期待できますよ。

主人公はサトシ、ポケモンマスターを目指すわずか10才の少年。背も成績も走る速さも同じという、同じく10才でオーキド博士の孫であるシゲルから「じいさんからポケモンをもらう」という話を聞き、「オレにもポケモンくれるように博士に頼んでくれよ!」と頼み込むが、「お前にゃまだポケモンは早すぎるよ」とたった1コマで断られてしまう。
背も成績も走る速さも同じってどんな設定ですか。ましてや、友人のじいさんにたかるサトシのゆとりっぷりと、「背も成績も走る速さも同じ」くせに「お前にゃ早い」なんていっちゃうシゲルの中二っぷり。どうやら昔から若者は変わっていないようです。

さて本題に戻ろう。ポケモンが見たくて堪らないサトシは、キケンだと言われていた野原に入って行き、野生のポケモンに囲まれ攻撃を受ける。が、一瞬にして炎に巻かれる野生ポケモン。オーキド博士に助けられたようだ。野原に入ったことを怒られるが、これがきっかけでサトシもポケモンをもらえることとなる。こうして手に入れたのが始めての相方、ヒトカゲである。なかなかいい始まりじゃないですか。わくわくする冒険のスタートですよ。

プロローグで同時にポケモンを手にしたシゲルと競争しながら、ポケモン図鑑を完成させることとなったサトシ。早速森に入りピカピカのドングリで遊ぶピカチュウに遭遇する。

「ピカチュウだ!!雑誌でもTVでも人気ナンバーワンの。」

サトシ、意外とミーハーである。さらに無邪気に遊ぶピカチュウのドングリを奪い、

「オレといっしょに来たら、ピカピカのどんぐり、もっといっぱいさがしてやるよ!」

のキメ台詞。
2 話目にしてもうすでにバトルせずにピカチュウをゲット。あと何年かしたら「オレといっしょに来たら、新品のバッグいっぱい買ってやるよ!」とでも言っているんだろうな。どうしようもないな。

卑怯な手段でピカチュウを手に入れたことだし、次の話こそバトルかと期待していたら、いきなりジムリーダーに挑んでいる。さすが主人公である。その見事な試合を台詞で再現してみよう。

「ヒトカゲ!角だ!やったー!!」
「しまった!!急所を…」

1コマで試合終了である。ページを飛ばしたかと思わず前のページに戻ったりしてみるが、やはり1コマで終わりである。
ちなみに、この回のラストページはドングリに囲まれるピカチュウの絵で締められている。少ないページ数でジムリーダーを倒し、前回のドングリの約束も守っているので、なんだかんだサトシは主人公に相応しい男なのかもしれない。

次の町ではついに女の子の登場だ。ポケモンをかじったことのある人なら覚えのあるだろうジムリーダーの少女、カスミである。さて今回こそいいバトルが見れるかと期待してページを繰るが、そこに現れたのはまさかの、プールで溺れるサトシとピカチュウの姿であった。ヒトカゲに至っては炎ポケモンのためブルブル震えて出番終了である。バトルそっちのけでカスミに水泳の練習をさせられるサトシとピカチュウ。ここまで読み進めてもうすでにポケモンバトルの本質すら欠いている。カスミの水着サービスシーンかとも思ったが、色気の欠片もない。最終的に現れたむさくるしい男の持つギャラドスを、やはり1コマで倒してこの回終了である。

次の回も、その次の回も、順調に1コマで敵を倒してくれるので軽快に読み進めていたが、途中で明らかに気合の入った絵が現れて手がとまる。髪にスクリーントーンを張り、削って光沢まで出してあるナツメである。これはもしや気合の入った試合展開が…!と期待するがやはりトントンさくさくと進むバトル。負けなしである。
ここにきてやっと気がついたが、151匹のモンスターをこの一冊にまとめるというのはやはり無理が…いや、まだわからない。ここから新展開あるかもしれない。

・・・

途中まで毎回1コマで決着がつくバトルを馬鹿にして読み進めていたが、物語も半分を過ぎた頃から意外なほど引き込まれてしまう。船酔いする船長にカタコト英語のイナズマアメリカン。入れ歯をなくしたサファリパークの園長…意外と泣ける話である。この間にもサトシのヒトカゲは順調に進化して…ううっ…
なんと悪の集団ロケット団の創始者が、大事にしていたポケモンに裏切られて悪に身を染めたという話まで聞いてしまう…
もうここまでくると漫画爆弾なんてそっちのけですよ。いい話なんですもん。まじ馬鹿にできねぇす。
これ、普通にいい話です。半分まで馬鹿にして読み進めてごめんなさい。

この小さい一冊で伝説ポケモンとも対峙しちゃうんですもの。進化を嫌がってたピカチュウなんてラストで自分から雷の石を取り出してライチュウに進化しちゃいますからね。まじ泣けます。サトシにずっとライバル心抱いて性格わるい奴に成り下がってたシゲルもラストで友情に気付きますしね。

というわけでまんが版ポケットモンスター全書、まじでお勧めです。みんな是非読んでください。
これ一冊で赤緑のポケモンはマスターできます。いまさらポケモン知らないなんていえない!なんて照れやさんのあなたにもお勧めです。

あ、ちなみに数えましたけどちゃんと151匹登場してました。特に最終ページとか半端なく頑張ってました。 間違いなくポケットモンスター全書でした。





inserted by FC2 system