書 籍 情 報
   

シルバニアン・ファミリーズ:
選んだ人:太陽漏電

■『百人力太郎』

  朝岡弘行



慢 画 爆 弾 レ ビ ュ ー

桃太郎よりも、金太郎よりも、力太郎よりも頼もしい奴がいる!その名も百人力太郎!とまあ、豪語する作品、"百人力太郎"。作者の欄に作者の実住所らしきものと、出所不明のマスクかぶった著者の写真があるあたりが、時代を感じる作品だ。今、本人に突き出してあげたい。ヒヒ。

さて、本作品の解体処理をする前に一つ伝えておかなければならないことがある。この企画"漫画爆弾"だが、説明のとおり"人に読みたくない漫画を無理矢理に読ませ、感想文を書かせる"という、容赦ないものなのだが、私が手にしたものは、"キカクガイ"のものだった。

つまらない?中身がない?ゲイだの、将軍ラーメンだの、ガチムチげんきでチュウ!どころではない、本物の"キカクガイ"…

本作品は、"絵本"なのである。なんというテロリズムだろう。マンガを選べと言っているのに、絵本を選ぶ。マジ、犯人出てこい…。

しかし、渡されたなら仕方ない。爆弾は待ってくれない。不平を乗り越えてこそ、本物のヒーローは生まれるのだ。そう、ヒーローとは常に難局を乗り越え、苦難に打ち勝ち、見るものを魅了する力を持ったものに与えられる名声なのだ。

手に汗握る冒険。
幾度とないピンチ。
時には、仲間と悲しい別れを経験したり、自分の力ではどうすることもできない、運命に翻弄されることもあるだろう。
絶望してあきらめてしまうような局面…。

しかし、やはりヒーローは違う。
ぼくにはとてもできないようなことを、やってのける! そこにしびれる、あこがれたりする!マジ、mp3 killed the CD star...
そういった活躍を待ち望み、私たちは今日もページをめくるのだが…

本作"百人力太郎"、主人公はその名の通り、"百人力"なのである。はっきり言って、強くてニューゲーム状態なのだ。

ピンチがチャンスなんて言葉は彼には必要ない。いや、作中にたしかに、ピンチそのものは存在する。ただ、それはピンチがチャンスそのものというか、チャンスそのままなのである。

"うわー!困った!あいつ変なヒモみたいなのでてる…あ、結べばいいんじゃネ!ハイ、一件落着!!"みたいな。

あいつの、基本ルーティンは

なんかやべーのきた → たたかった → かった → もっとやべーのいる → たたかった → かった → おひめさまかんげき! → でもやべーのきた…かった → ナイステクノ!!打ち上げはすしざんまい!!

といった、ミニマルテクノ状態なのだ。
ブレイクなんて初心者向けのギミックは存在しない。ガチテクノ、マジミニマル。しかも、ミニマルテクノだけあって、長い。というか、全編ブレイクみたい。戻ってこない。フィルターが掛かりっぱなしのフィルターテクノみたい。

と書き掛けたところで、謎のフリーズに見舞われた。

いいさくひんでした!
こころあたたまるえぴそーどもりだくさんでした!
ひゃくにんりきたろう、さいこー!

百人力太郎はすごいなあ
百人力太郎は真の太郎だ
ぼくにはとてもできない

百人力太郎は世界中の
太郎をつかさどっている
ぼくにはとてもできない

ほめるから、作りかけのmodごと落ちるのはやめてください。

ぼくではこのばくだんをとてもかいたいできない

汁家



(編者注:句読点や読みにくい改行以外、原文ママとしました)


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