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選んだ人:藤子名人

■『みゅうたんと学園』

  山桜桃



慢 画 爆 弾 レ ビ ュ ー

あらすじ

月岡満(つきおか・みつる)は、人狼(ワーウルフ)の血を受け継ぐ混血児(ハーフ)。丸い物を見ると獣化への衝動で、心臓の鼓動が速くなる習性があった。そのイライラを発散させようと、ある日、屋上で不良達とケンカした満は、ナイフで腕を切られてしまい保健室へと向かう。美しい保健の先生、エリナ・バートリーは「月岡くん、ケンカするのもいいけどケガはなるべくしない方がいいわね……血がもったいないじゃない」と声をかけ、突如、服を脱ぎ始め……!? 満に好意を寄せる我浜真理(わがはま・まり)を交えながら、人狼の血の宿縁を描いた学園伝奇ホラー。


以上がコピってきたあらすじなわけだが、その節々から読み取れる「中二」「エロ」感は本物。パロでもネタなく、素でストーリーに溶け込む全体の雰囲気は90年代そのもの。

開始3ページ目で主人公の満が胸を抑えてドクンドクンしだすし、1冊完結ストーリーのため展開がやたら早いものの、保健室の先生に正体がバレる→セックスというように、1話1話エロい展開をはさんでくれてうれしい。

中盤から、唯一の敵であるクロフォードという吸血鬼が出てくるわけだが、この作品での見所はバトルシーンよりも満とその取り巻きの心理描写だろう。

満の父親であるジャン・エヴァンス(月岡はどこいった)は同じワーウルフの血を受け継ぐものとして満に協力的ではあるが、父親として息子に愛を語ったりと気持ちのいいほどの親父っぷりが出ていてよし、保険の先生のエリナも何を考えているかわからないそぶりをみせつつしっかり満に(エロい意味で)協力してくれたりする。こいつがむしろヒロインの真理よりも目立っている。

結局この「みゅうたんと学園」は、いったいなにがみゅうたんだったのかというと、それは「吸血鬼」の血を受け継ぐものが人間を愛することを覚えた、エリナの感情そのものだったのではなかろうか。(適当)

とりあえず、最後まで真理のエロシーンがなかったのが残念でならない。それだけが心残りである。

飛びぬけた面白さはないにせよ、うまくまとまっている名作だと思います。チョイスした名人はほんとこういうベタベタで小気味いい漫画を選ぶのがうまいなー。
全然関係ないけど巻末のワニマガジンコミックスの紹介欄に「小鉄の大冒険」があって懐かしすぎた。これ途中で打ち切りになっちゃったんだけど、続きが読みたいものです。


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